「……やめろ」
「え?」
「心臓、持たねぇ」
“俺、さっき自覚したばっかなんだけど”
そう言って、拗ねたように唇を尖らせた瀬戸くんは何だか可愛くて。
私は笑いを堪えきれず、声を上げて笑ってしまった。
「ホントだ。ドキドキ言ってる」
ギュッと抱きついて胸元に耳を寄せれば、聞こえてきたのは少し速い心臓の音。
「勝手に聞いてんじゃねぇよ」
さすがに恥ずかしかったのか、瀬戸くんは私の体を少し乱暴に引き離して左腕で顔を隠した。
「瀬戸くん」
「……なに」
クイクイと空いた右手を引っ張れば、知らん振りせずちゃんと私の手を握り返してくれる。
「なんだよ」
目が合っても何も言わない私に、瀬戸くんは怪訝そうに眉を潜め、また唇を尖らせた。
すっかり元通りになってしまった瀬戸くんはやっぱりどこか素っ気無くて。
でも、想いを伝える前とは確かに何かが違う。
「……あのね」
にっこりと微笑んでたーっぷりと溜めた私は、瀬戸くんの耳元でこう問い掛けた。
“私達、カレカノだよね?”
「バーカ。彼女でもねぇ奴にこんな事しねぇよ」


