しっかりと底に足をつけ、同時に水面へと飛び出す私たち。
けれど、重なった唇はそのままで。
「……はぁ……っ、」
どちらのモノか分からない吐息が零れ落ちたのを合図に、チュッと小さくリップ音が鳴った。
名残惜しげに離れていく瀬戸くんの唇。
「瀬戸、くん……?」
なんで、キスしたの……?
そっと見上げれば、漆黒の瞳と目が合って。
ポタッ……
瀬戸くんの前髪から滴り落ちた雫が私の頬を静かに濡らす。
塗れた前髪から覗く漆黒の瞳が少しだけ揺れ動いたかと思うと、
「お前、暴走するそのクセどうにかしろ」
いつもの口調でそう言った瀬戸くんが私の額を人差し指でピンッと軽く弾いた。
「……痛い」
不満げにそう洩らせば、瀬戸くんはなぜか嬉しそうに微笑んで。
笑みを浮かべたまま、何も言わずに私を抱き寄せた。


