瀬戸くんと、ふたりきり。



「帆夏」

「私の方が遅いから先にスタートするね!」



了承を得ないまま無理矢理話を進めた私は、そう言うや否やバシャンとプールに飛び込んだ。


背後から私を呼ぶ声が聞こえたけどスルー。

そのまま、水面へと滑り込む。




……瀬戸くん、無理矢理ごめんね。


でも、瀬戸くんとここで泳げるのはもしかしたらこれで最後になるかもしれないから。


込み上げてくる切ない感情に涙腺が緩んで。

それを堪えるために強く下唇を噛み締めた。




──本当は。

瀬戸くんに好きになって貰う自信なんかこれっぽっちもないの。

でも、諦めきれないから。

だから、望みだけでも持とうって思ったんだ。


どうやっても好きになって貰えなかったら、その時は潔く諦めよう。

それまでは努力して頑張るから。


それぐらいは良いよね?瀬戸くん。





そう、心の中で呟いた時だった。


ゆったりと水面を漂っていたら、左手首をギュッと強く掴まれた。