瀬戸くんと、ふたりきり。



実は瀬戸くんって優しいのかもしれない、なんて都合よくそう思っていた私は、このあと瀬戸くんがスパルタ教師になるなんて思ってもいなかった。




「だから、右手を出したら左向きに息つぎだって言ってんだろ!」

「だ、だってぇ~」

「だってじゃねぇよ!なんで右手の次の息つぎが右なんだよ!そっちの方が難しいだろうが!」




同じことを繰り返し言ってるからか、瀬戸くんの口調がだんだんい荒くなっていく。


だれよ!瀬戸くんが優しいなんて言ったの!



声には出せない文句をしかたなく心の中で吐き出すけど、それじゃ全然収まらない。

逆に心の中にためすぎてずっとモヤモヤが消えなかった。



そんな状態で早一時間。

その一時間はもっぱら息継ぎの練習しかしておらず。



……なんだか飽きてきた。



早くもやる気が急降下。

でも、飽きたなんてそんなこと、瀬戸くんには怖くて絶対言えない。