……分からない?
「瀬戸くん……?」
小さく瀬戸くんの名前を呟けば、それによってようやく砕けた瀬戸くんの表情。
少し不貞腐れたその表情に疑問が過る。
「俺、」
「………うん」
ぼそりと零れ落ちたその言葉に小さく相槌を打てば、
「好きとか、よく分かんねぇ」
耳に届いたのは未だかつて聞いた事のない声色で。
「う、うん?」
“好き”が、よく分からない?
それって、そのままの意味で捉えていいのかな?
イマイチその言葉の意味が分からなくて、
「瀬戸くん、人を好きになったことないの?」
控えめにそう聞いてみた。
すると。
「っ」
あ、やっぱりそうなんだ。
気まずそうにフイッと逸らされた顔。
それは私の質問を肯定していて、少し嬉しいと思ってしまった。
「そ、そっか」
「……何笑ってんだよ」
うん。知らず知らずの内ににやけてしまっていたらしい。


