どれぐらいの時間そうしていたのか分からないけど、時間にすればたぶん数十秒ほど。
だけど、私にとったら凄く長くて幸せな時間だった。
そっと瀬戸くんから離れて振り返れば、そこにいる筈の先生の姿がどこにもなくて。
「……先生は?」
「榊原ならオーケーサイン出して帰ってった」
「え、そうなの?」
っていうか。
私、先生の存在完全に忘れてた。
あぁぁぁぁ。先生の前で何てこと……!
次会った時絶対からかわれるっ!
ニヤついてる先生の顔を想像して、自分の犯してしまった失態を悔む。
「お前、何一人で百面相してんだよ」
「ひゃっ、百面相!?」
ぽすんと頭に大きな手が乗せられたかと思うと、いつかみたいにグリグリと撫で回され。
その仕草にいったん静まった鼓動がまた凄い速さで動き始めた。


