このプールには良い思い出も哀しい思い出も両方あって。
でも、それがあったからこそこうやってまた瀬戸くんとここにいられるんだと思う。
過去があって今の関係がある。
そして、これからの自分の行動が未来の関係をつくっていく。
瀬戸くんとどんな関係をつくっていくかは全部自分次第。
自分のために。
瀬戸くんに自分の想いを伝えるために。
私は絶対に泳ぎきる。
それが今の私のするべきこと。
“帆夏!!”
数メートル先に真っ白な壁が映り込んだ時、微かに聞こえた愛しい人の声。
瀬戸くん……!
きっと聞き間違いなんかじゃない。
この水面の上で瀬戸くんが私を呼んでいる。
あと、もう少しでゴール……。
「っ、」
目の前に迫りくる壁に右手を伸ばせば。
──トンッ。
指先に感じたのはゴールを知らせる感触。
“帆夏!!”


