そして。
瀬戸くんのお兄さんに偶然会って誘われたサーフィンの大会。
そこで最後の最後に瀬戸くんに見つかってしまい、人混みの中で追いかけっこ。
今思えば何をやっていたんだろうって少し笑えるけど。
でも、あの時は本当に必死だったんだ。
瀬戸くんに嫌われたくなくて、
これ以上嫌われたくなくて、
死に物狂いで人混みを掻き分けた。
逃げ切った後に込み上げてきたのは、何で応援に行ったんだろうという激しい後悔。
次の日、学校に行くのが本当に嫌だった。
けれど次の日、瀬戸くんは私に会いにこのプールへ来てくれた。
最初は文句を言われると思って逃げたけどそうじゃなくて。
自分のせいで離れてくれたんだろ?悪かったって、瀬戸くんは言ってくれた。
ううん。それだけじゃない。
もう一度私に水泳を教えてくれるとも言ってくれた。
まさかそんなことを言ってくれるなんて思ってもいなくて。
あの時は本当に泣きそうになった。
また瀬戸くんと一緒にいられると思うと嬉しくて。
本当に本当に嬉しくて。
夢みたいだと思った。
自分の都合のいい夢を見てるんじゃなかって、
本気でそう思ったんだ。


