濡れているせいか、いつもとはちがうその風貌。
髪の毛から滴る雫と、たくましい体が妙に艶かしくて。
耳についているピアスは今日はどこにも見あたらなかった。
まるで知らない人のように見える瀬戸くんに、規則的に動く鼓動が速さを増していく。
なんだろう。
こんな胸の高鳴り、今まで感じたことがない。
「なんだよ、固まって。練習すんだろ?早く来いよ」
「う、うん……」
何のためらいもなく私に向けて差し出された右手。
その手を見て少しとまどったけど、せっかく差し出してくれたのだから取らないわけにはいかず、そっとその手の上に右手を乗せた。
「っ」
トンッと瀬戸くんの手のひらに指先が触れて。
水温のせいか少し冷たくて、濡れた指先にまた鼓動が速くなっていくのを感じた。


