瀬戸くんと、ふたりきり。



「アイツに教えて貰わなかったら知らないままだった」

「……瀬戸くん」

「本当に悪かった」

「……ううん。瀬戸くんは何も悪くない。だから謝らないで。私は言って貰って良かったと思ってるよ。だって、瀬戸くんの練習の邪魔はしたくないんだもん。私、瀬戸くんのサーフィンが大好きだから」

「……帆夏」

「へへっ」




“瀬戸くんのサーフィンが大好きだから”




瀬戸くん。

私が好きなのはサーフィンだけじゃないよ。


“瀬戸くん”も好きなの。

だから今、瀬戸くんと話せて凄く嬉しい。





「──サンキュ」



口端を緩やかに引き上げて、優しく頭を撫でてくれる瀬戸くんに私の頬も自然と緩む。



瀬戸くんは知らないでしょう?


瀬戸くんが笑ってくれるだけで心が満たされること。

瀬戸くんに触れられる度鼓動が高鳴ること。

瀬戸くんと一緒にいるだけで胸が締め付けられること。



瀬戸くんは、知らないよね?





「──知ってたから」