「……ったく、昨日といい今日といい、なんで逃げんだよ」
余韻に浸っていた脳を一瞬で覚醒させたその言葉に目線が自然と下がる。
「それに、“ごめんなさい”ってなに?俺、お前に謝られるようなことされた覚えねぇんだけど」
「………」
「なぁ、何に対して謝ってんの?」
「………」
「何とか言えよ」
穏やかな口調で話し掛けてくれる瀬戸くんに私は何も言えなかった。
だって、“ごめんなさい”の中には大会の練習を邪魔して“ごめんなさい”も入っているから。
大会が終わったからって、こんな告げ口みたいなこと言える訳ないよ。


