「チビッ!」
まっすぐ。
ただまっすぐ私に向かって進んでくる瀬戸くん。
遠かった水音が次第に迫り、
「待てって言ってんだろ!!」
私を呼ぶ瀬戸くんの声が鼓膜を震わせる。
「チビッ!!」
「や……ッ!」
一際大きな叫び声が背後で響いたかと思うと、それと同時に左右の手首を乱暴に掴まれて。
両手に感じた瀬戸くんの温もりに捕まってしまったことを悟った私は、それによって感情が制御出来なくなっていた。
「やっ!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
掴まれた両腕を力一杯振り回して、身体を左右に捩る。
「おい!聞けッ!」
そんな私を瀬戸くんが無理矢理押さえ込もうとするけれど、今まで感じたことのない男の子の力に余計に感情が高ぶっていった。
「ごめんなさい!もう付きまとわないから!」
「チビ!落ち着け!」
「ごめんなさい!見に行ってごめんなさい!」


