プールを見ると瀬戸くんを思い出す。
ありえないぐらいスパルタだったけど、細いところまで親身になって教えてくれた瀬戸くん。
まだ数日しか経っていないのにすごく壊かしい気がして。
自分から離れてしまったことを少しだけ後悔した。
瀬戸くんに会いたいなぁ……。
……なんて、本当に現れたら逃げるくせにね。
「馬鹿だなぁ、私……」
そう自嘲気味に零した時だった。
「サボってんじゃねぇよ」
聞き覚えのあるフレーズが耳に届いて。
一瞬瀬戸くんかな、なんて思ったけど、すぐに先日のことを思い出して、脳裏に浮かんだ瀬戸くんの顔を掻き消した。
どうせまた圭祐の悪戯か何かだろう。
そう思って振り返ったのに。
「……え?」
なん、で……?
振り向いた先にいたのは、圭祐ではなく本物の瀬戸くんだった。