とうとう最終グループに入り、次々と選手達が演技を終えていく。

一人終わるごとに高鳴っていく鼓動に私の方が押し潰されそうになり、とりあえず一度深呼吸をした。



『エントリーナンバー51、千堂 尚輝』


「……っ、ゴホッゴホッ!」



突然会場にあるスピーカーから聞こえてきた千堂さんの名前に息が詰まって、思いっきり咳き込んだ私。

そんな私をよそに、爆発でも起きたかのような歓声が会場内に響き渡った。


それにまた驚き、咳き込む。



やっぱり千堂さんって凄い人だったんだ……。


改めてそう感じて、それと同時にまた不安が生じた。


瀬戸くんは今、どんな気持ちでこの歓声を聞いているんだろう。


やっぱり気にしてるよね……。


余計なお世話かもしれないけれど、心配せずにはいられなくて。

会場のどこかにいる瀬戸くんに頑張って、と祈り続けた。