「帆夏ちゃん、今日は大晴の練習見に来たの?」
「えっ!?いや、あの、違います……」
「違うの?」
「………」
語尾と共にゆっくりと下がっていく頭は明らかに本心ではないことを意味していて。
「……もしかして、大晴と何かあった?」
当然、目敏そうなお兄さんがそれに気付かない訳がなかった。
遠慮がちに問い掛けてきたお兄さんに私は返事どころか顔を上げることすら出来ず、ただだんまりを決め込むだけで。
何か言わなきゃお兄さんが困るのに。
そう思ってはいてもなかなか言葉が出てきてくれない。
「……そっか、大晴と喧嘩しちゃったか。……よしっ、お兄ちゃんが大晴を怒っといてやるよ」
「えっ!?ち、違います!悪いのは私です!私が勝手なことしたから!だから瀬戸くんは何も悪くないんです!!」


