瀬戸くんの近くにいられなくても、遠目から見るだけで十分満足。
怒らせてしまった私はもう、瀬戸くんに話しかけることさえ出来ないから。
ねぇ、瀬戸くん。
見るのは許してね。
絶対に邪魔しないから。
「あれ?君……」
「え……?」
私?
家に帰ろうと砂浜近くの道を歩いていると、前方から歩いてきた男の人にすれ違い様に声を掛けられた。
海を見ながら歩いていた私は危うくスルーしそうになって、慌てて立ち止まった。
知り合いだったら失礼極まりない態度だ。
「あの?」
どちら様ですか?
振り返った先にいたのは知らない男の人で。
短髪の黒髪にこんがりと程良く焼けた肌が印象的だった。
ワイルドと呼べるであろうその風貌はまさにサーフィンをしていそうで。
サーフィンをしている人と関わりなんてない私は、何でこの人に話し掛けられたのか見当もつかない。


