瀬戸くんと、ふたりきり。







「はぁ……疲れた……」



最後の一本を泳ぎきり、プールから上がろうとした───その時。



「帆夏お疲れー!」

「ひゃ……っ!」



後方から聞こえてきた聞き覚えのあるその声にビクッと飛び跳ねた。


び、びっくりした……。


何事かと思い、乱れる鼓動を押さえながら恐る恐る振り返ってみると、

フェンスの向こうには満面の笑みで手を振っている圭祐がいて。


なんだ、圭祐か、と安堵の溜め息を零した。




「今から帰るのー?」

「そうそう!また明日なー!」



急いでいるのか、一度も立ち止まる事なく走っていった圭祐。

いつもならしつこいぐらい話し掛けてくるのに今日は珍しい。



……あ、そうか。


ふと時計に目を向けて、納得。

今からサーフィンしに行くんだ。



今の時刻は午後6時前。

夏は陽が沈むのが遅く、7時頃までならまだ海で遊べるからね。




「……私も行こうかな」


帰っていく圭祐の後ろ姿を見つめながらそう呟いて、早々にプールを後にした。