薄暗い……木で出来たボロクソの家だった。

それでも、一晩過ごせる場所が見つかっただけでもいいほうだった。

「このお茶、飲んで! ……元気が、出るから」

そう言って、氷がたくさん入った冷たいお茶を青年はエリーに差し出した。

「ありがとうございます」

そう言って、エリーはコップを持つと一口飲んだ。

「あ、そう言えばさ。先程はごめんね」

「……違うんです」

「っと、言うと?」

「私がこうやって旅をしているのは、呪いで眠りについた家族を救うためです。呪いが解ける何かが見つかることを信じて……。ですが、無意味だったんですかね」


カチカチ……カチカチ……


しばらくの間、時計の音だけが鳴り響いていた。

そして、ようやくエリーは口を開いた。

「……命を吸い取れられてしまっているのなら、もしも、呪いが解けたとしても....お母さん達は……」

すると、再び目の周りが熱くなり目一杯に涙が溢れ出した。



その涙は頬を伝ってゆく……。