『……っ』

息を飲んで 目に広がる情景に
頭がクラクラしていると 狐の人が
耳もとでイタズラっ子みたいに
言った


「もう君はここの子なんだよ」

『え…』


「安心せぇ、俺は女は嫌いや
別に手ぇも出さへん 俺の家に置いたる
そのかわり働け」


『へ…?』


もう殺されるか?オヤツいっていたもんなぁ。と思いながら身硬くしていると
ふん、と鬼の人に笑われた
笑われた、と言っても 顔は冷たいが。


『でも私…』


「どうせ、死のうとしとったんやろ?
別に ええやろ それぐらい。助けて
もらったんやからなぁ?」


『…はい。』


どうせ、死ぬ命だったんだ
と、私は言われて苦笑した

たしかに、ここで抗うのは可笑しい。
そう思って 私は妖怪2人に頭を下げた

『あの…私 喜多 深明と言います。宜しくお願いします』


「へー、いい名前だね?ミアケちゃん♪ 僕は 白羽。ヨロシクー!」

「渚、や…よろしゅう」


狐のシラハさん。鬼のナギサさん。

頭が狂ったのかなぁ。
別にいいのかもしれない。
どうせ あの世界では存在価値が無いし。

うん、そうだ。


と、決めつけて 私は必死にこの
状況を飲み込んだのだった。