下を見ると、まぶしい光。 そして
止めなく走って行く車。
全身で感じる風の強さ。
『……』
もういいんだ、早く楽になろう
少女はぎゅっと両手を握りしめた。
『すぅっ…』
息を吸い込んで、2度下を見る。
20階もあるビルの屋上
落ちればおそらく 一瞬で熟れたトマト
ように地面でひしゃげるだろう。
両親も、学校の先生も、友達も。
どうせ私なんていらない子なんだ。
少女は 震える足をなんとか 動かした
片方、そしてもう片方。
『あっ…』
落ちてしまえば後は簡単だった。
風を切るような音 目なんて開けて
られない ああ、私死ぬんだ。
少女は己を悟り 意識を闇へ溶かした