夜は別れと出会いの狭間で佇んでいる。
すなわち出会いも別れも簡単に訪れると言うこと。
そして出会いも別れも簡単に去っていくと言うこと。
これなら確かに、誰でも経験できるのだ。

じゃあこれを、一晩で経験した人はいるだろうか。

もしかしたら、いるのかもしれない。
だがそれは皆、苦い思い出として扱っているのではないのだろうか。
またはもう思い出せないか。

では、一晩で経験したにもかかわらず、幸せになれた人はいるのだろうか。

これではもう、わからない。
なぜか。
誰もこんな気持ちにはなれなかったのだ。
またはなる機会を逃していたのだ。
どちらにしても、未知数すぎるのだ。

わからない。
わからないっていうのは、知らないからでもある。
だが、一番の根本的な訳は"知りたくなかった"からであると考えるのが非常識であり正しい考え。
知りたくなかったということを、知らないということで片付ける。
こうすれば自分がいつでも皆と同じラインに立っていられるのだ。

ただ、そんなわからないだらけの世界に二人がいる。
この二人は、今からそれを成し遂げてしまうのかもしれない。
これは、運命というより元々終点を決められていたのかもしれない。