僕の時間は永い。
だって僕はこの15年間ここから出てないから。
これから出るつもりもないから。
家にいて、何をしてるわけでもない。
朝起きて、ぼーっとしたら、もう日は落ちている。
ご飯は僕の親が交通事故で亡くなってから一週間に一回、土曜日の朝早くに、ドアの右側に食材や調味料などが置いてある。
ドアに欲しいものを紙に書いて貼っておけば、翌朝には置いてあった。
僕が思うに、僕の親と管理人さんは親戚なんだと思う。
僕が本当に小さい頃、3歳満たない頃かな。
友達だったか兄弟だったか。いや、僕は一人っ子だったはず。記憶が曖昧だから分からないけど、僕は女の子と何度か遊んだ覚えがある。
これも記憶が本当かどうかわからない。
もしかしたら全て幻覚だったのかもしれない。
でも、仮にその女の子が存在していた場合、僕は女の子と遊んでいるとき、その管理人さんが一緒に遊んでくれた気がするのだ。
女の子の顔や名前は思い出せないけど、管理人さんの顔はよく覚えているから、間違えないだろう。
まぁこれは仮に、女の子か存在していた場合の話であり結論だけど。
だからこそ、知り合いである僕にここまでお金をつぎこんでくれるのだと思う。
矛盾点がありすぎるけど、今はそう思うことにしている。

僕の隣の部屋の人もそのような状態なんだと思う。
僕は隣の部屋の人がドアを開ける音を毎週日曜日の早朝しか聞いたことがない。
しかもそれはドアが空いたり閉まったりを繰り返している。
おそらくドアの横においてある管理人さんから支給の生活用品を家に運んでいるのだろう。
ここまで確定付けられるのは僕も同じことをしていたからだ。
もしかすると隣の人も管理人さんの親戚なのかもしれない。
まぁ僕がそんなこと考えたって、何か得になるわけでもないけど。

僕の部屋は無機質といっていいほどに、なければならないものしか置いていない。
ベランダはなく、南側に窓が1つあるだけ。
窓の下は管理人さんによって丁寧に揃えられた草、花が結構な広さで生えている。
そこの草が気持ちいいのだろうか、野良猫がよく遊びに来る。
僕の住んでいるのは二階だから、よく見える。
間取的には玄関入ってすぐ廊下、その奥にリビングという名の僕の六畳の部屋。
廊下の左側にトイレとお風呂などがあるだけ。
恐らくこのアパートは全部こんな感じなのだろう。

僕は今日も、何をすることもなく眠りにつく。