「みさきどれがいい?」

みさきは片っ端から刀を手に取って自分の手になれるものを探しているようだ。
みさきは動きを止めて、一つの刀に見入った。

その刀とは渦々しい妖気を放つ妖刀だった。

「それがいいのか?きれいなお嬢ちゃんに免じて金はいらねぇ。持ってきな。」

店の店主がそう言ってくれたのでみさきはうれしそうにありがとうと元気よく言った。

「次は服だね。行こうか。」

みさきと話していると、町の人たちがざわついていた。

「見てみろ、人斬り集団だぞ。」

「壬生狼だ。」

そう言う声が聞こえ私はそちらを振り返った。

すると、めずらしく巡察をしていた土方さんと目があった。
すぐに私は目をそらし、みさきに行こうかと言って歩き出した。

「みさきは袴か着物どっちがほしいの?」

そう言うとみさきは

「どっちも欲しいな。屋敷では着物を着て帯刀するときは袴を着るっていう風にしたいな。」

「それはいいね。じゃあ三着ずつ買おうか。」

そう言うとみさきは嬉しそうな顔をしてうん!と言った。
みさきは笑顔がよく似合う女の子だから、人斬りをさせるのはなんだか罪悪感があるな。

そんなことを思っていると、

「神崎!」

私を呼ぶ声が聞こえた。

後ろを振り返ってみると、土方さんだった。

少し髪が乱れているところからして、さっき目があったときに急いで追いかけてきたみたいだった。

「お姉ちゃんこの人誰?」

みさきがそう言って私の顔を見た。

「この人は新選組の副長の土方さんだよ。この人も今では敵だから気を付けて。私はこの人と少し話すことがあるからあそこの甘味処にいてね。私のおごりだからなにを注文してもいいよ。」