永倉が藤堂を下ろしてから、医学ができる山崎には部屋に残ってもらい永倉には出て行ってもらった。

「治療を始める前に山崎に頼みたいことがある。私が藤堂の傷を塞ぐ為にはかなり体力を使う。だから誰にもばれないように少しだけ休ませてほしい。」

「わかった。ええで。」

藤堂の怪我を本人の了解も無しに治すのは本当はやめた方がいいのだが、今は緊急事態で命に関わることだ。仕方ない。

今回は病気じゃないから、あの長ったらしい呪文は唱えなくていい。
ただ手をかざすだけ。傷を治すのは沖田の時と違って自分の命を削らなくていい。
その代わりかなりの体力を使うことになる。少し休まないと怠くて全く動けなくなるのだ。

「じゃあ始める。」

そう言い、私は藤堂の傷に手をかざした。

目を閉じ全神経を藤堂の傷にかざした手に集中させた。

すると、手から光が放たれしばらくして光が消えて行った。

山崎が藤堂の傷を見たころにはもうすでにきれいさっぱり消えていた。