そこにいたほとんどの人が桜が斬られたと思ったが、よく見てみると殺されたのは桜に斬りかかっていった伊東派のやつだった。

「あれはなんだ!?」

誰かがそう言った瞬間にみんなは桜のほうを見た。

だが桜は刀を抜いてはいなかった。
よく桜の後ろを見てみると、池田屋の時の桜のような恰好をした者が一人いた。

屋根の上に金の瞳に銀の髪の女が立っていたのだ。

桜もみんなの視線に気づいて後ろを振り返った。

「大丈夫?」

それは桜に向かって放たれた言葉だった。

桜は面識のない同胞の登場に驚きを隠せなかった。

「ああ、大丈夫だ。」

だが桜は、反射的にそう答えていた。

「あなたは、誰ですか?」

兄さんがその女に聞いた。