桜が新選組と離れてから約二ヶ月半が経った。

今、桜は新選組の屯所に向かっている。

最近藤堂と斎藤が隊を離れたと聞いて御陵衛士の偵察に行ったときに、伊東甲子太郎が、いや御陵衛士が薩摩側に付く事が分かったからだ。

薩摩は敵でも何でもないが兄さんが人間同士を戦わせるのは面白いと判断して新選組と仲の良かった私を向かわせたのだった。

つまり全ては兄さんの思惑通りと言うこと。

そんなことはどうでもいいがそろそろ新選組の屯所に着く頃だ。

「おーい、誰か居ないのか?」

そう声をかけると中からバタバタと廊下を走る音が聞こえた。

「だれだ!」

そう言ったのは刀に手をかけた土方だった。

「お前!?戻ってきたのか!?」

そう言うや否や土方はニヤリと気持ちの悪い笑みを浮かべ刀から手を下ろした。

「まあ、ここではなんだ。上がれ。」

土方はそう言い先に入っていった。