そのまま柊と並んで歩いていたら、荵の部屋についた。
コンコン
「どうぞ。」
ガチャ
そこには昔の面影を少しだけ残した荵がいた。
「久しぶりだな、桜。会いたかったよ。」
「柊、少し外してくれないか?」
「ああ、わかった。何かあったら呼べ。」
柊はそう言い、部屋から出ていった。
荵の部屋はこの時代にあわない洋風の部屋だった。
「兄さん久しぶり。会いたかったよ。」
そう言い私は兄さんに抱き付いて泣いた。
涙を流したのは兄さんがいなくなって以来だった。
「ごめんな急にいなくなって。父さんが死んでから俺はあの女の所に戻りたくなかったんだ。その時お前を連れていこうと思ったがまだ十二歳のお前には酷かと思ってな。」
「そっか。じゃあ兄さんはあの家に戻ろうと思えば戻れるの?」
「ああ、まあな。
だがもうあの家の様子を見に行く必要もない。」
「どういう事?」
「もしかして気づいていなかったのか?俺が度々お前の様子を見に戻っていたこと。」
「うん。そうだったんだ。
でも兄さんの能力って人の心を読む事だけじゃないの?」
そう言うと兄さんは
「ああ、そうだ。
だがお前も前に会った天羽って男の家は代々時空を移動できる能力の家系なんだ。
それより桜はこれから俺と此処で過ごすんだろ?じゃあお前の部屋を用意しないとな。」
そう言い兄さんは一度部屋から出ていったがすぐに戻ってきた。
「桜の部屋の用意が出来たぞ。付いてこい。」
そう言われて私は兄さんに付いていった。

