中に入ってみると意外にもここは大名(いわゆる金持ち)の屋敷のようだった。

「なあ、本当に荵はここにいるのか?」

私は柊にそう聞いてみた。
荵がここまでの金持ちの家に居候させてもらえていると信じられなかったからだ。

「ああ、と言うかここは荵の家だ。」

「えっ!どうして?」

「自分で聞いてみたらどうだ?」

「そうする。で、荵はどこにいるんだ?」

「突き当たりの角を曲がってから、真っ直ぐ進んだら荵の部屋だ。」

「わかった。」

それから兄さんの部屋に着くまでは何も話さなかった。