荷物をと言っても着替えと刀しか無いが、纏めて私は廊下に出た。
三馬鹿の部屋の前を通った時に鼾(いびき)が聞こえてきた。
沖田の部屋では何度か呻き声が聞こえてきたが、私は無視した。
一番苦労したのは土方さんの部屋の前で、土方さんはまだ仕事をしているのか部屋の灯りが付いていた。
廊下はかなり老朽化が進んでいて、気を抜くとギシギシと音が鳴りそうだった。
私はなんとか土方さんにばれずに、玄関に着くことができた。
これでこの屯所とはおさらばだな。
やっと信用できる仲間ができそうだったのにな。
そんなことを思いながら何処に行こうか、と歩き始めた。

