そして治療を始める時間になった。

「沖田さん、準備はいいですか?」

「うん、大丈夫。」

「では始めます。

“治癒の神よ目覚めたまえ。
我に力を貸し、我の寿命を糧に、この者に力を与え病を治せ。”」

私はそう唱えたあと三十分ほど祈った。
私の鬼の力らしきものは、自分の寿命と引き換えに私の力を一時だけ増幅させ人の病を治すと言うものだった。

「おい神崎、総司は大丈夫なんだろうな?」

「分かりません、今は何とも。三日後の沖田さんの様子で判断します。」

「これは総司の体力次第と言う事だな?神崎。」

「はい。沖田さんが耐えられなければ死にますし、沖田さんが耐えれば生きられます。」

私はそう言うと部屋を出ようとした。が土方さんに止められた。

「お前に聞きたいことがある。副長室に来い。」

「分かりました。」

土方さんの聞きたいことって何だろう?そんなことを考えながら土方さんの後に付いていった。

「入れ。」

はいと私は短く返事をし、土方さんの部屋に入った。

「聞きたいことって何ですか?」

「お前さっき呪文の様なものの中に、我の寿命がどうのこうのっていってたが、それはつまりどう言うことだ?」

「言葉の通りですよ。
自分の寿命と引き換えに、沖田さんを治す、それだけです。」

「おい、自分の寿命ってどう言うことだ?」

「あれ言いませんでしたっけ?病を治す時は自分の寿命を縮めるって。」