土方さんを宥めていた近藤さんも全員揃った事を確認すると、行くぞと合図をし、土方隊と別れて行動した。
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屯所を出た頃はまだ夕暮れ時だったが、池田屋に着く頃には既に日は落ち月が頭上に輝いていた。
今夜の月は満月でいつもより輝いて見えた。
そんな時永倉さんが近藤さんに話しかけた。
「おい近藤さん。こっちが当たりみたいだぜ?
会津藩を待って取り逃がしちまう前に行こうぜ。」
それに同調して沖田さんも
「そうですよ、近藤さん。ここまで来てみすみす逃すなんて、新選組の名前に傷がつきますよ。」
そこで近藤さんは苦い表情をしたが、やがて顔を上げた。
「よし突入だ!俺に続け!」
そう言って池田屋に入って行った。
約150年後まで語り継がれる池田屋事件が幕を開けた。

