私は近藤さんに試合の審判を頼んだ。

すると近藤さんは、

「もちろんだ!局長たるもの隊士たちの稽古をしっかり見届けんとな!」

と快く引き受けてくれた。

「神崎、そろそろ始める。」

「はい。近藤さんお願いします。」

「あいわかった!

両者構えて・・・・・・・始め!」

近藤さんの合図で始まった。

最初の入隊試験の時のように斎藤さんの隙を探していると、

「神崎、来ないなら俺から行くぞ。」

と言われた。
入隊試験の時と同じだなと思いながらも気を抜かずに隙を探していた。

すると、斎藤さんが入隊試験の時とは比べ物にならないくらいの速さで木刀を振りかざしてきた。

「斎藤さん速くなりましたね。」

「ああ。」

それからはずーっと攻防の繰り返しだった。
そろそろ終わらせないと他の人との試合が出来なくなると思い、即座に終わらせる為に三段突きの構えに入った。

「斎藤さん行きますよ?」

私は返事を待たないうちに最初の突きをした。

最初の突きを案の定斎藤さんは避けたが、私は避けた先に向かって二つ目の突きをした。
斎藤さんは二つ目の突きがこんなに速く来るとは思っていなかったようで、避けきれなかった。

「勝者、神崎桜!」

「やはり無理か。また試合頼んだぞ。」

「はい。」

そんな会話をしていたら沖田さんが寄ってきて、

「次は僕とやりましょう!」

と言って来た。
良いですよと答えようとしたら、道場の扉が開いて土方さんが

「やっぱりここだったか。お前らそろそろ準備をしろ。あと半刻で行く。」

と言ったので、私は沖田さんに

「また次の機会にやりましょう。」

と言って、自分の部屋に戻った。