あれから半刻が過ぎた。
あと二刻で集合時間になる。

集合まで何をして過ごそう。

そんな事を考えていると廊下の方から足音が聞こえて突然障子が開いた。

スパーン

「なあ、桜!」

外から声も掛けずに中に入ってきた人を無礼な人だなと思いながら、私はその人に刀を向ける。

「おい、桜!危ねぇじゃんか!」

「何も声を掛けずに入ってこないでください。次は殺しますよ?藤堂さん。」

中に入ってきた無礼な人は東堂さんだった。

「ごめんごめん!謝るから許して!」

「仕方ないですね。次はちゃんと声を掛けてください。」

「分かりました。すいませんでした。」

藤堂さんが謝ってくれたので、刀をしまう。

「で?何の用ですか?」

「あっそうそう、俺の事平助って呼んで?
藤堂さんなんて固っくるしい呼び方はやめてくれよ。年も近そうだし。」

「分かりました。用件はそれだけですか?」

すると平助は、あっと言う顔をして言った。

「今から稽古しないかと思ってさ。」

ちょうど何しようか考えてたとこだし、いっか。

「良いですよ。」

「本当か?」

「はい。」

と返事をしたら、嬉しそうな顔をして私の手を引っ張って道場へと向かう。