甘味処を出て少し歩いたところに呉服屋さんがあった。
中に入ると呉服屋の主人が声をかけてきた。
「いらっしゃーい、探しものは何ですか?」
そう聞かれて私が答えようとしたら、私より先に沖田さんが答えていた。
「この子に似合う袴3着とあと着物1着下さい。」
「はい分かりました〜。ちょっと待ってて下さいね。」
そう言って主人は奥に入って行った。
その間に私は何か良いものは無いか探していたが、これと言ってお気に召すものはなかった。
少しして店主が袴3着と着物1着を持って出てきた。
「この方に似合う柄を選ばせてもらいました。
どうですか?」
店主にそう聞かれて、柄を見てみると藍色の蝶が飛んでいる着物と藍色、紺色、桜色の袴だった。
私は4着とも一目見てからすごく気に入った。
「うん、君によく似合うね。これでいいかな?」
「はい、自分も気に入ったのでこれをもらいます。」
「お買い上げありがとうございます。」
そう言って店主は中に入っていった。
「そろそろ帰ろうか。」
「そうですね。」
それ以降はどちらも喋らず、しかし心地の良い沈黙の中、屯所への帰路についた。

