少しの沈黙のあと、歳三さんが話し始めた。
「俺がこっちに来て目を覚ますと両親がいた。」
「そうだったんだ。」
「たぶん、俺の姉貴の子孫だったんだと思う。だから、俺には新選組にいた時の記憶もあるし、こっちで生まれ育った記憶もある。」
じゃあ、この人はあの時の歳三さんでもあるし、彼のお姉さんの子孫でもあるんだね。
「だが、その記憶の中でも俺はお前を忘れたことは一度もなかった。
俺にはお前の存在が一番大切だったんだ。」
私は歳三さんが話しているのを聞いて涙が出てきた。
もちろん、うれし涙だ。
今まで生きてきた中で一度として私のことをそれほど大切に思ってくれる人など一人もいなかった。
私は泣きながら歳三さんに抱きついてしまった。
「ありがとう。歳三さん。私歳三さんのことが好き、愛してる!」
私がそういうと歳三さんが私を抱きしめながら微笑んだ気がした。
「ああ、俺もだ。俺も桜のことを愛している。これからも一緒にいてくれるか?」
「もちろん!」

