兄妹の鬼の先に待つもの





私は歳三さんに会って、随分女の子らしくなったんだと思う。

今、歳三さんの回りにいる女子に嫉妬している。

当の本人は無表情なのだが。

一時間ぐらいしてやっと女子がいなくなったので、私は歳三さんの所へ行った。

歩いていく歳三さんの背中に

「教授。」

と少しからかった言い方をすると、

「なんだ。俺は誰とも付き合わな...桜か?」

先程女子の塊に告白をされたらしく、振り向き様にそう言った。

「誰とも付き合わないんですか?」

私がそう言うと、少し焦ったように

「違うんだ!俺にはお前がいるから誰とも...って桜、俺のことからかってるな?」

歳三さんは怒ったように言うと、一緒に笑い始めた。

「桜、おいで。」

私は歳三さんの胸に飛び込んだ。

「やっと会えた!やっぱり歳三さんの胸の中が安心する。」

「あの~、お二人さん?私がいることを忘れないでいただきたい。」

私は背後からそう声が聞こえたので、慌てて歳三さんから離れた。

「ご、ごめん悠希。」

私が謝ると悠希は綺麗に微笑んで、

「いいよ。存分に話してください。なんか訳ありみたいだし。じゃあ桜、明日の講義でね。」

悠希はそう言って帰っていった。