兄妹の鬼の先に待つもの






私は今までやってきた事が自然と体に身に付いていたようで、拳を受け流して鳩尾に一発お見舞いしてやった。

私に突っかかってきた奴は前のめりに倒れた。

すると、そこら中からパチパチと拍手をする音が聞こえた。

私が頭に?を浮かべていると見ていた生徒の一人が

「この人、毎年新入生をナンパして泣かしてるんだよ。
これからは懲りてやらないだろうね。ありがとうね。」

と言った。

私は軽く会釈をして歳三さんが去っていった方向に行こうとしたが、入学式が始まる時間だったので諦めて会場に向かった。

会場に入り、始まるのを待っていた。

教授方が会場に入ってきたのでそっちを見ていると、その中に歳三さんがいた。

今まで探してきた人がこんなにアッサリ見つかるとは思わず、私も気が緩んでいたのか涙が流れてしまった。

幸い誰にもばれていないようだった。

私はこっそり涙を流し、歳三さんだけを見つめていた。

隣の女の子が話しかけてきた。

「大丈夫?何かあった?」

私はいきなりだったのでビックリしてその子をガン見してしまった。

「私、悠希って言うの。これ使って。」

悠希は私にハンカチを差し出したけど、私が受け取らずにいるとハンカチを私の目元に当ててくれた。

「ありがとう。」

私がそう言うと、悠希は笑顔で

「いいよ!女の子が泣いてるの見過ごせないもん。あなた、名前は?」

「桜。神崎桜。」

「桜か、いい名前だね!私と友達になってくれない?」

私はまたもや驚いた。

誰かに友達になろうと言われたのは初めてなのだ。

「いいの?だめなの?」

「私でよければ。」

少し素っ気なく答えてしまった。

「桜、専攻は?」

「古典文学、日本史。悠希は?」

「同じだ!ねぇ古典文学の教授誰か知ってる?」

「知らない。」

私は悠希に聞いてまたもや驚いた。

まさか、歳三さんだったなんて。

知らなかったとはいえ、凄く嬉しかった。

入学式が終わり、私は悠希に言って歳三さんに挨拶に行こうとしたが、歳三さんは所謂イケメンの類いに入るので女子生徒に囲まれている。

せっかく話せると思ったのにな。