刀屋からそう歩かずについた場所は甘味処だった。
てっきり腹ごしらえっていうからうどんとかそういうお店だと思ってたんだけど…

ちょっと待って、此処鈴ちゃんが居るところなんだけど。
まあいっか、巡察の後に来る手間が省けたしね。

「沖田さん!いつもありがとうございます!」

「今日も鈴ちゃんは元気だねぇ。」

「あれ、神崎さんも!待ってたのに全然来てくれないからもう来ないのかと思いましたよ!」

もう!と言って怒る鈴ちゃんは頬を膨らましてとても可愛い顔をしていた。

「あれ?桜ちゃん、鈴ちゃんと知り合い?」

「まあ、はい。」

「お席にどうぞ!ご注文は?」

「僕は餡蜜2個にみたらし団子と三色団子を5本ずつね。桜ちゃんは?」

「自分甘い物は苦手なのでお茶だけで。」

「そうなんですか、残念です。」

鈴ちゃんはとても残念そうな顔をしていた。

「どうして?」

「この前助けて頂いたお礼に、お団子でも奢ろうと思って。」

「あの浪士が気に食わなかったから倒しただけですよ。
でも、お言葉に甘えて甘くない団子を頂こうかな。」

「わかりました!」

鈴ちゃんは嬉しそうな顔をして戻っていった。
あの浪士は女に嫌われるタイプだったからな。

それに邪魔だったし。

団子を食べつつ談笑をして、食べるものがなくなったあたりで店を出る。

「浮いた刀代で甘味を食べれてよかったよ。じゃあ呉服屋に行こうか。」

「そうですね、行きましょう。」