あの日から2日が経ち、徐々に女中の仕事にも慣れてきた。
最初はこの時代の調理器具が全然使えなかったが、もう一人の女中の小島弥生さんに教えてもらった。
弥生さんはこの屯所を貸してくれている人の奥さんで、2日に1度の頻度で女中の仕事をしてくれている。
「弥生さん今日の夕餉は肉じゃがにしようと思うんですけどどうですか?」
「あら奇遇ね、私も肉じゃがにしようと思ってたの。」
おぉ、弥生さん気が合う。
「おい桜、ちょっと話がある。来てくれ。」
夕餉のメニューも決まり、とりあえず朝餉の準備を始めようとしたら土方さんが厨(くりや)に入ってきた。
「何ですか?今日の朝餉は焼き魚ですよ。」
「飯の事を聞きに来たんじゃねぇ。いいから来い。」
何だろう?
「弥生さん、少し抜けてもいいですか。」
「ええ。良いわよ。また後でね。」
「ありがとうございます。」