私はこっちに来て初めて沖田と行った呉服屋で買った袴を着た。
懐かしい気分に戻るためだ。
私は寝るときにおろした髪を上の方で結って、広間に行った。
「おはよう。」
私は広間にいた幹部連中に久し振りに挨拶をした。
皆は私が挨拶をするとは思ってなかったようで、ビックリしていた。
その後席に座り、幹部の全員が揃ってから謝った。
「近藤さん、山南さん、土方、その他全員今まですまなかった!
私は鬼の復讐に囚われていた。でもこれからは平穏に暮らしていきたい。新選組の一員として。
だめか?」
「これからも仲間としてしっかり働いてくれたまえ!」
「ああ!そうだ!」
皆は私を歓迎すると口々に言ってくれた。
でもやっぱり私の口調は土方の前以外では今まで通りでいこう。
「斎藤!これからもよろしく!」
「あんたには新選組のためにしっかり働いてもらう。」
皆の許しが出たので朝餉を食べ始めることにした。
「いただきます。」
今日の朝餉のお浸しはなんだか変な色をしている。
「今日の朝餉の当番は誰なんだ?」
「僕だけど?」
沖田がそう言った。
ということはすごく濃いのか?
「あー!やっぱ総司のお浸しはしょっぺぇ!!水!水!」
永倉はそう言って台所の方に走っていった。
それを見て他の幹部はお皿をさりげなく端に寄せていた。
私はワンテンポ遅れてしまい、沖田に捕まってしまった。
「桜ちゃん、僕のお浸しの味はどう?」
黒い笑みで沖田に見られ、食べるしかなくなってしまった。
本の少し箸で摘まんで口の中に入れた。
私はしょっぱいのを我慢して食べた。
「ねぇ桜ちゃんどう?」
「オイシイ。」
ついつい片言になってしまった。
だが沖田は気にせず、ニコニコしていた。
「良かった。」
そう言って、沖田は普通の食事に戻った。