兄妹の鬼の先に待つもの






少しの沈黙のあと、あけぼのさんが私にむかって言った。

「神崎さんあなたは鬼ですか?」

唐突にそう訪ねてきた。

「ああ。なぜわかった?大方予想はつくがあんたも鬼なんだろう?」

「ええ、そうです。ですがあなたと違って私は分家の鬼。力も弱いです。
あなたも何か感じていたのでしょう?」

そう言って私を見た。

「ああ、感じていた。だがなぜ鬼がこのような場所に?」

私は疑問を感じ、あけぼのさんを見た。

「私には仕えている鬼がいます。そのお方の命によりここに潜入していた次第です。
私達の頭領が会いたがっています。一緒に来てくださいますね?」

私は少し返事に迷ったが了解した。

「では、明日新選組屯所に迎えにいかせていただきます。」

そう言って、さっきの部屋まで戻っていった。

そのあと土方を起こして、屯所まで戻った。
土方は屯所に戻る途中で酔いが覚めたらしく、屯所についたとたんに自室にこもり残っていた仕事を片付けていたようだった。