「島原に行くぐらいだから、女の人はつけるんだろう?」
「ああ。だが、お前が嫌だというなら俺とお前だけで呑むのもありだがな。」
「土方の好きにしろ。」
私はそう言って、土方の後ろを歩き始めた。
「そうか。」
土方はそれだけ言って、また前を向いて歩き始めた。
それから私達は下らない話をしながら、歩いていた。
誰かと話すのも無駄だと思っていたのに今では土方と話すのが楽しくなっている。
やっぱり私は土方のことを...
私はそんなことを考えながら歩いていた。
だが、土方がいきなり立ち止まったので私は土方の背中にぶつかりそうになってしまった。
「どうした?いきなり止まられると危ないだろう。」
「いや、もう店に着いたんだ。」
そういうことか、こんな小さい店なんだな。
「入るぞ。」
土方は私にそう言って、扉を開いた。
「誰かいないか?」
土方が店の裏側に声をかけると、奥から女将さんらしき人が出てきた。
「はいはい、あら土方はんやないですか。
またお酒ですか?」
「ああ、そうだ。今日はもう一人連れてきた。」
「あんさん、名前なんて言うんどすか?」
「神崎桜。」
「そうどすか。あんさん、男ですか?女ですか?」
「どうだろうな。」
「そうどすか、まあ無理には聞かんときますわ。ところで、今日の女の子はどうします?」
「いつもの女で頼む。」
「わかりました。では、後ほどお部屋に連れて行きますさかい。」
「わかった。いつも使ってる部屋でいいんだな?」
「はい、では。」

