屯所を出てから土方は屋敷の方ではなく、町の中の一つの店に入っていった。
「おい、何をしている?」
私がそう聞いても土方は黙ったまま、店に置いてあった髪飾りを2つ手に取った。
「これをくれ。」
「へい、毎度あり!」
いつの間に会計を済ませたのか、手には先ほど買った髪飾りが2つあった。
「今生の別れってわけじゃねぇが、せめてもの詫びだ。この2つの髪飾りをそこの女とお前でお揃いで付けろ。そうしたら多少は繋がってると思うだろう。」
私は土方がそんなことを考えているとは思わなかった。
「わかった、ありがとう。」
私はそれだけ言うと、土方から受け取った髪飾りを気を失っているみさきの髪に付けて、自分の髪にも付けた。
みさきによく似合う髪飾りだと素直に思った。
「行くぞ。」
土方は素っ気なくそう言い、先に歩き出した。
私はそんな土方に追いつくように小走りで追いかけた。

