そう言って出てきたのは、原田だった。

「隊長!こいつが副長のことを呼び捨てにしたんです!」

「なんだと?おま...!
どうして、桜がここにいるんだ!?」

原田がそう聞いてきたが、私は無視をした。

「別になんでもいいだろう。
早く土方のところに連れていけ。」

「わ、わかった。」

原田は門番をしていた隊士を退かせた。

「隊長?」

「すまん。こいつは大事な客人だ。」

原田はそう言って私を屯所に上がらせた。

土方の部屋に着くまで2人の間には沈黙しかなかった。

「土方さん、入るぜ。」

原田はそう言って土方の返事も聞かず障子を開けた。

土方は原田の行動に怒るでもなく、私の方を見て静かに言った。

「来たか。原田、近藤さんを呼んできてくれ。」

「わかった。」

原田が出ていってから、私は土方の部屋の隅に座った。

「元気にしてたか?」

土方は机に向き合ったままそう聞いてきた。

「別になんでもいいだろう。お前には関係ない。そんなことより、早くみさきを返せ。」