兄妹の鬼の先に待つもの






「みさき、入るよ。」

そう言って私はみさきの返事を聞かずに部屋に入った。

「どうしたの?お姉ちゃん。」

みさきはそう言ってこちらに振り向いた。

「あのね、みさき。今日買った刀の事なんだけど、あの刀はみさきの体が乗っ取られるらしいの。だからこれからみさきは能力だけ使って。汚れ仕事は私達がやるから。」

そう言って私はみさきの返事を聞かずに部屋を出ていった。

今私が思ったことだが、みさきの前では何故か口調が女の子っぽくなるみたいだ。

私は自分の部屋には戻らず、柊の部屋に向かった。

「柊、入るぞ。」

そう言ってからすぐに柊の返事が聞こえた。

私は柊の部屋に入って、さっきのことを報告した。

「刀のことみさきに言った。やっぱりみさきは不服そうな顔をしていた。
兄さんのほうはどうだった?」

「ああ。こっちのほうは何か企んでそうな笑みを浮かべながらわかったと言っていた。
荵はこちらにきてから何かがおかしい。今はあいつの考えていることがよくわからない。」

柊がそう言ってから私は世間話の様なものを始めた。

「そういえば柊は兄さんと同じ高校生だったんだろう?
彼女はいなかったのか?」

私がそう言うと、柊はフッと微笑みながら言った。

「ああ、いた。可愛い彼女が。事故で亡くなったがな。
小鳥遊にも彼女がいた。天羽にはいなかった...と言うより恋人という存在を作らなかった。」

高校生満喫してたんだな。
柊に彼女か。なんか意外だった。柊にはいなさそうだからな。