「さっき言ったこと、忘れたとは言わねーよな?」



やっと振り返ったかと思うと、晴斗は真剣な表情をしていて。


まっすぐな眼差しに、また鼓動が高鳴る。


やばい。


どんどん好きになっていってる。



「さ、さっき言ったこと……?あたし、何か言ったっけ?」



「俺の……彼女になりたいって話」



えっ?


あ、それね。



「わ、忘れてない……よ」



だって、本気でそう思ったんだもん。


好きだから。


晴斗なら、信じられると思ったから。



「そっか。ならーー」



ーーグイッ



腕を引かれて体が傾く。



晴斗は体を屈めて、ベッドに座るあたしの耳元に唇を寄せて来た。



ドキンと加速し始める鼓動。



「今日からよろしく」



ーーチュッ



耳元に唇を寄せたまま、晴斗はあたしの頬にキスをした。



「なっ、な……」



「ははっ。志帆すぐ真っ赤になるからおもしれー!じゃあな。また電話するから」



晴斗はそのままパッと背を向けて、片手を上げてあたしの部屋から出て行った。