「人の体温を感じると、落ち着くんだよ。スーッと安心するんだ。」


あっ、安心…。

逆なんだけど。
計算?それとも、ただ普通にやってるの?


「そうだね…。」

本当は違う。
ドキドキしてる。

私よりも温かい手、
私よりも大きい手。


「俺に緊張すんなよ。」

岡本くんはそう言って笑った。


「なっ!?計算!!」

「何だよ。計算って…(笑)」

「私のこと、遊んでるんでしょ。」

「遊んでねぇよ。」

「遊んでるし!」


そうこうしてるうちに、チャイムが鳴った。


彼は立ち上がり、
「元気になってよかったよ。次の授業はちゃんと出ろよ。」

「うっ、うん…。」

私の頭をポンポンと優しく叩いて、彼は教室を出て行った。