信じられない、と言った様子の湊。
まぁ、そりゃそうだ。
だって、あり得ないんだもん。
「これは、トップに近い組の組長と篠原組の組員しか知らない。
知らないって言うか、その一部にしか呼ばれてない事。
だけど、その"機密"だからこそ信憑性があるんだろうね。」
「……だから、お前に敬語を使う大人ばかりなのか?」
「……そうだよ。」
自分よりも小さい子供に敬語で話す組長達。
「寂しく、ないのか?」
「……慣れちゃった。」
それが、寂しいと思わなくなった。
距離を置かれてると感じても、何とも思わなくなった。
「嘘だ。本当は寂しいだろ。
寂しくないわけがない。」
私でも分からない心の中を、読めてしまう湊。
言葉に出してしまえば、"寂しい"と思ってしまうから。
今まで言わないようにして、その感情は殺して来た。
「寂しく……ない」
「俺は、お前にそんな思いをさせない。
甘えて良いんだ、未衣。
我慢のし過ぎは良くない。
お前、寝てないだろ。隈が凄い。
お前、最近食べてないだろ。また痩せた。
我慢するな。自分のやりたい事を思いっきりやれ。」
また、心に溶け込んで行く湊の温かくて優しい言葉。