「別にね?何かを背負ってる訳じゃないの。」
「あぁ。」
「これは、何処からか出た噂が原因でそう言われるようになったの。」
冷酷、悪魔、冷血、極悪非道
そんな風に言われてる私。
「ほんの一部の人間しか、その事は知らない。
広まってないからこそ、その噂が事実だと知ってる人間は勘違いする。」
「…あぁ。」
湊は、あたしの話を相槌を打って聞いてくれる。
「篠原組に、副組長が居ないのは知ってるでしょ?」
「あぁ。」
パパが組長だった時に副組長だったのはみーくん。
パパが死んで組長になったみーくん
だけど、副組長の席は空いている。
みーくんの代…つまり、現在篠原組に副組長は居ない。
「何でか分かる?」
「……副組長に決まってた奴が死んだとか、逃げ出したとか、そんな噂は聞いた事ある。」
「ふふっ。全然違うの。
今の代の副組長は、最初から存在してない。
候補にみーくんの側近の名前が挙がったけど、発表する前に無しになってるし。
」
「存在、してないのか……?」
意味が分からないと顔をする湊。
当たり前だ。
副組長は組長が不在の時に変わりとなる人物であり、組長を心身共にサポートする大切な役割。
それが存在しないなんて、あり得ない事だ。
しかも、それがトップの組なら尚更。
副組長が居ない組なんて、多分ウチだけだと思う。


