眠り姫と総長様 II



「別にね?何かを背負ってる訳じゃないの。」


「あぁ。」


「これは、何処からか出た噂が原因でそう言われるようになったの。」



冷酷、悪魔、冷血、極悪非道


そんな風に言われてる私。


「ほんの一部の人間しか、その事は知らない。

広まってないからこそ、その噂が事実だと知ってる人間は勘違いする。」


「…あぁ。」


湊は、あたしの話を相槌を打って聞いてくれる。


「篠原組に、副組長が居ないのは知ってるでしょ?」


「あぁ。」


パパが組長だった時に副組長だったのはみーくん。


パパが死んで組長になったみーくん
だけど、副組長の席は空いている。


みーくんの代…つまり、現在篠原組に副組長は居ない。


「何でか分かる?」


「……副組長に決まってた奴が死んだとか、逃げ出したとか、そんな噂は聞いた事ある。」


「ふふっ。全然違うの。
今の代の副組長は、最初から存在してない。
候補にみーくんの側近の名前が挙がったけど、発表する前に無しになってるし。



「存在、してないのか……?」


意味が分からないと顔をする湊。


当たり前だ。


副組長は組長が不在の時に変わりとなる人物であり、組長を心身共にサポートする大切な役割。


それが存在しないなんて、あり得ない事だ。


しかも、それがトップの組なら尚更。


副組長が居ない組なんて、多分ウチだけだと思う。