眠り姫と総長様 II


「おっ、未衣!手当てしてくれ!」


「はーい。」


こーちゃんの隣に座って手当てしようとしたら……


「湊、それじゃ手当て出来ない」


湊が後ろから抱きしめて来た。


「…………」


「湊」


「…………」


仕方ないから、そのままの体制でやりにくいけど頑張る事にした。


手当てが終わると、こーちゃんの顔は絆創膏とコットンで埋め尽くされていた。


「ギャハハハハハ!航輝の顔ひでぇな!」


爆笑してるひーくんは、こーちゃんに殴られて撃沈。


湊といつもの席に戻って、皆の顔を見る。


りっくんは居ないけど、この際仕方ない。後で説明しよ。


「未衣ちゃん、聞きたい事は山程あるんだけどさ。まず。」


「んー?なにー?」


やっぱりここで司会をするのは海くん。

皆、真剣な表情だ。



「今まで何処に居たの?」


「本当はね?皆に会った最後の日に言おうと思ってたんだけど、その次の日から1ヶ月位関西に行ってたの。仕事で。
その後帰って来て、ずっと家で仕事してた。」


「……あの写真は?
未衣ちゃん、浮気なんてしてないのにどうして嘘吐いたの?」


写真って、あの日に見せられた奴でしょ?


「あたし、"写真は事実"だって言ったけど、"浮気した"なんて一言も言ってないよー?」


浮気について、あたしは否定も肯定もしていない。


ただ、写真に写ってるのはあたし、って言っただけ。



「……だったらそう言ってくれれば良かったのに」


「んー、あたし的には湊とケンカしたって山崎組に思い込ませた方が動きやすかったから、そっちの方が良かったのー。」


だって案の定、山崎翼は

「高宮とケンカしたんやろ?ほな、あんな男止めて俺と付き合おう?」

そう言って接触して来た訳だし。